メインの新しい敷地の中には細い小川が流れている。
冬になるとなくなってしまうほどの小川だが、奇麗な水が心地よいせせらぎを運んでくる。
『川はどこから始まるのだろう?』
こどもの頃、川の根源を求めてよく山の中を一人で探検した。
『空はどこからはじまるのだろう』
というような無謀な哲学的な疑問を抱くに及ばず救われた。
子供の頃は探検家になりたいとおもっていた。
兄弟ともずいぶん歳が離れていたし、そして近所がなかったから学校が終わると一緒に遊ぶ友だちもいなかったのでいつも自然を相手に遊んでいた。そしてそれが別に苦ではなかった。基本的に今でも孤独が嫌いではないのは子供の頃からずっと一人で過ごしてきたからなんだと思う。
見借の谷間にはいくつもの小川が流れていてその大きな石に寝ころがったり、石の上を飛び飛びして川を渡るのが好きだった。
川を見る時の気持ちは今も変わらない。
そこに大きな岩なんかがあると尿意を催してしまう。
興奮してしまうとおもわずマーキングしてしまう犬のように自分は単純な品種なのだとおもう。
あと少しで満月の夜に蛍が飛び交っている。
夏が近づいている。
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